発達障害でも高校に行ける?
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こちらでは発達障害が不登校の原因の1つであることや発達障害があってもサポートが整っている高校であれば進学が可能であることなどについて解説します。
発達障害と不登校
発達障害とは生まれつき脳の発達が普通の人と違いアンバランスになっていることで、社会生活の上で色々な不都合やトラブルを引き起こします。
発達障害にはこだわりが強すぎたり、相手の気持ちを理解するのが難しい広汎性発達障害、読み書きや計算など特定領域の習得が困難という定領域に現れる学習障害などがあり、不登校の原因の1つにもあげられています。
自分の子どもが不登校になってしまって初めて発達障害だったということがわかったという親御さんも少なくありません。
文部科学省が公開している「平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」というデータによると、2017年の小学生・中学生の不登校生徒数は144,031人にも及び、増加傾向にあることが分かっています。
不登校の生徒のうち何人の生徒が発達障害が原因で不登校になっているかは不明ですが、他のデータによれば、発達障害が疑われる生徒が不登校になる割合は発達障害以外の生徒と比べて数倍多いと判明しています。
発達障害と不登校が深く関係していることは間違いないでしょう。
*参照元:平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について|文部科学省
発達障害で不登校になった生徒の事例
事例1:小学生の時に3年間不登校だった
小学生の時に3年間不登校だったある女性は、特に大きなきっかけがあったわけでもなく不登校になったそう。
小学1年生の時の担任の先生が厳しく、そのプレッシャーで徐々に学校に行き辛くなっていき、さらに仲の良かった友達の転校や自分が劣っているという劣等感が重なり、癇癪を起こすようになったそうです。
今当時を振り返ってみると、不登校になった原因は「集団行動が苦手だったから」とお話しされていました。
今よりも社会的な理解が進んでおらず学校側のサポート体制が整っていなかった当時は、ご家族や先生から適切な支援を得られなかったようです。
事例2:小学生の娘が発達障害だと診断された
ある日、娘さんが急に「学校に行きたくない」と泣いて暴れ出したことがあり、最初は理由も分からずなんとか学校に行かせていたそうです。
しかし、泣いて暴れるような日が続き不登校に。病院で検査してもらったところ、不安障害及び発達障害と診断を受けたのでした。発達障害が原因で苦しんでいた娘を思うと、辛く涙が止まらなかった。
そして、「娘が発達障害で不登校」という現実に目の前が真っ暗になるような感覚を覚えながらも、集団が苦手で感覚過敏も酷く癇癪を起こしてしまうこともある娘さんを、お母さんは笑って受け止めてあげることにしているそうです。
事例3:不登校を選んだ8歳の息子
自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如障害(ADD)のある8歳の息子さんが、登校を嫌がり学校に行かなくなってしまったそう。
学校側からは発達障害をあまり理解してもらえず、お母さん自身も毎年の冬季うつと重なり、心身の不調が顕著に。
復学を目指すべきか自宅学習を選ぶか悩んだ結果、最終的には発達障害を専門としたかかりつけ医に「家庭学習でも構わないのではないか」とアドバイスを受けたこともあり、自宅学習にすることを決断されたのでした。
*参照元:「苦手を克服」で心が壊れる前に…「不登校」を選択した息子と、二次障害を経験した私の決断とは|LITALICO発達ナビ
学校側が支援できる限界
2012年に文部科学省が行った調査によると、発達障害の可能性のある児童生徒の推定値は6.5%(※)とされています。
学校生活になじむことができず、いじめられたり、不登校になったりする生徒も多いのですが、創造的な才能に秀でている生徒も多く、エジソンやアインシュタインも発達障害だったと言われています。
現在そういう生徒達を上手くサポートしていくための特別支援教育は始められていますが、人手が足りず、ノウハウも無く暗中模索という状態で実務的には限界だという教師もいます。
イギリスでは発達障害児への手厚いサポートが上手く機能し多くの生徒が幸せに生活しているそうですが、そのためのコストを年間7000億円もかけているといいます。
日本でも同じようなサポートをするためには多くの人手とコストが必要と考えられ、今後の国の対応が期待されるところです。
*参照元:【PDF】「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」調査結果|文部科学省
発達障害と不登校の問題は解決が難しい
上記の3つの具体的な事例でも分かる通り、発達障害の生徒本人はもちろん、ご家族も「発達障害と不登校」の問題の難しさを感じている方が多いです。ご家族側もサポートが難しい上、学校側の理解を得られないケースも少なくないのが現状なのです。
現状、一般的な学校の支援として広く知られているのは「特別支援学級」によるサポートでしょう。少人数できめ細かい支援を受けることができ、生徒個々に合わせた方法で学習することができます。
しかし、この特別支援学級に関してはいくつかデメリットがありまだまだ課題が残っています。まず通常学級の生徒との接触が少なく、発達障害が原因でいじめやからかいの対象になってしまう可能性が考えられます。
特別支援学級は小・中学校限定で、基本的に一般的な高校には設置されていない点もデメリットと言えるでしょう。
また、特別支援学級による対応も地域によって差があり、必ずしも適切な支援を得られるとは限りません。
学校側の支援の難しさを物語る具体的な事例として、「ADHD(注意欠如多動性障害)の診断を受けた生徒に対して、特別支援室での対応と科目担当教員に課題、レポート等への配慮を行った」というケースがあります。
学校側としては適切に対応したのですが、その生徒は突然不登校になってしまったのです。原因は、一部の教員に配慮の指示が行き渡っておらずその生徒にとって非常に難しい指導のままだったこと。
教員の変更等の対応の結果、その生徒はなんとか復学することができたものの、復学までにリハビリが必要となりました。
この事例の場合、復学はできたものの一時的に不登校になってしまっています。支援を受けて復学できるケースもありますが、やはりしっかりしたサポート体制が整っていない一般の学校では適切に対応するのは難しいでしょう。
特に高校の場合は特別支援学級が設置されておらず、最適な支援を受けられるとは言い難いのが現状です。そのため、学校選びの段階から「サポート体制が整った学校」を選定することが最優先です。
在宅学習が可能な学習コースがある、プロのカウンセラーが在籍している、生徒1人ひとりの状況に合わせた高校生活を決めることができる、といったサポート体制が整った通信制高校を選択するのも1つの方法としておすすめできます。
実際、通信制高校に入学して、自らの特性に合わせた学習スタイルにすることで高校生活に満足できた生徒は多いです。
*参照元:事例No.188(ADHD)配慮について全ての担当教員への共有|独立行政法人 日本学生支援機構
進む事が出来る進路
※発達障害がある場合の進路としては以下のようなものがあります。
- 全日制の一般校:入学後に特別支援を受けるために事前に相談する必要がありますが本人に合う学力レベルの学校を選べます。
- 定時制学校:全日制に比べ授業時間が短いので時間を好きなことに使える時間が多いです。
- 通信制学校:対人関係が苦手でも自分のペースで学べぶことができますが学習を進めるには保護者のサポートが必要です。
- チャレンジスクール:全ての学校で発達障害児支援をしているわけではないですが単位制など自分のペースで進められる制度もあります。
- 特別支援学校:専門的支援があり職業実習も多いので卒業後の就職に強いです。
- 高等専門学校:専門的学習が受けられ環境の変化も少ないです。
- 専修学校:高卒資格はとれませんが実務重視の教育を行っています。
学校を選ぶ時のポイント
それぞれの学校の基本的制度や情報についてはウェブサイト、書籍、学校から得ることができますが、学校の実際の雰囲気や詳細な情報について知ることはなかなか難しいです。
学校を選ぶ際のポイントとしては入試説明会で実際に学校に行ってみて様子を見たり、文化祭などに行ってみるというのも良い方法です。また授業を見学させてくれる学校もあるので子どもが過ごしやすそうかどうか見極めるようにしましょう。見学の時には必ず子ども同伴で行って確かめるようにしましょう。
発達障害の生徒や保護者が安心できるサポート力が期待できるおすすめ通信制高校3選
以下では、いじめ防止基本方針を公開していて、スクールカウンセラーを置いている広域通信制高校をピックアップ。それぞれの学校の 学習のサポート、心のサポート、進路のサポートをご紹介します。(※調査日時:2021年6月時点)
第一学院高等学校
発達障害の方にとって、学校側が発達障害について理解を示してくれるかどうか、適切にフォローしてくれる環境が整っているかどうか、というのは非常に重要です。第一学院高等学校は、「生徒第一」「1/1の教育」を教育理念とした通信制高校で、学習のサポート・心のサポート・進路のサポートの3つが整っています。
サポート内容
1. 学習のサポート
まず注目したいのは、生徒の状況やニーズに合わせて選べる学習スタイルです。
通学して学ぶコースがあるだけでなく、個別指導コースや通信コースも用意されているため、集団での学習に不安があっても問題ありません。
ネット学習を中心として通信コースは2種類あり、「高認取得通信コース」では最短かつ効率的に高卒資格の取得を目指せ、「Mobile HighSchool(通信コース)」では好きな時に好きな場所で自分のペースで学習できます。
もちろんネット学習であっても担任がついてサポートを受けられるので安心です。
2. 心のサポート
メンタル面のサポートに関しても力を入れています。在籍する教員の多くが心理療法カウンセラーの資格を取得。さらに日本臨床心理士会所属の臨床心理士がスクールカウンセラーとしてサポートしてくれます。
悩みや不安ができた時、プロのカウンセラーに相談できる環境は一般的な学校にはなかなかありません。その点、第一学院高等学校なら非常に心強いですね。
また、第一学院高等学校では、脳科学分野の専門家との共同開発プログラムである「プラスサイクル指導(意欲換起教育)」という指導方法を採用しています。
物事をプラス思考で捉えられるよう指導し、意欲喚起特別講座の中では、思い込みによって形成されるマイナスの自己認識をリセットしていき、自分の将来像を明確にしていく授業を実施。
これによってプラス思考や意欲の促進、プラスのセルフイメージの形成など、生徒の内面から力強く育ててくれます。
保護者会や三者面談も定期的に行っているため、保護者と連携した教育が可能なのもポイントです。
3. 進路のサポート
第一学院高等学校は、学習面やメンタル面のサポートも手厚いですが、進路の面のサポートも強力。
CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)のキャリアカウンセラーが在籍する「キャリアサポートセンター」において、プロのキャリアサポートを受けることができます。
加えて、卒業生ネットワーク「チームD1」による継続的サポートもあります。
第一学院高等学校のキャリアサポートは、在学中だけでなく進学後も就職後でも受けられるのが大きな魅力です。卒業して社会に出れば、仕事の悩みや職場の人間関係など、様々な困難が立ち塞がります。
そんな時、手厚いサポートをしてくれる味方がいるのはとても安心できますよね。
こういった学習面・メンタル面・進路面の確かなサポート力は、発達障害の生徒や保護者の強力な支援になるはず。おすすめできる通信制高校の1つです。
卒業率
公式サイトに記載はありませんでした
進学率
公式サイトに記載はありませんでした
編入情報
編入可能
学校の基本情報
設立年度 | 1985年 |
---|---|
お問い合わせ番号(電話番号) | 0120-761-080 |
公式サイトURL | https://www.daiichigakuin.ed.jp/openschool4// |
キャンパス情報 | 全国50地域以上にキャンパス設置 |
八洲学園高等学校
1992年に開校した八洲学園高等学校は、今まで多くの卒業生を送り出してきた歴史があり、保護者や在校生、卒業生からの評判が良い通信制高校。発達障害の方と保護者に嬉しいサポート体制が整っており、中でも学習環境の支援に関しては特別です。
サポート内容
1. 学習環境のサポート
八洲学園高等学校では、多種多様な教育ニーズに対応するため、幅広いクラス編成を実現。全日制高校の通学スタイル、週1日~3日の午後から通学するスタイル、訪問支援を中心とする学習スタイル、完全個別の学習スタイル、インターネット学習を中心とした在宅学習スタイルなどを設置しています。その中でも特に発達障害等でより支援が必要な方向けとして設置しているのが、「5年制クラス」です。5年制クラスでは、発達障害等の方のためにより強固な支援体制が整えられており、3年間という時間に縛られない丁寧な教育を受けることができます。その目標は、社会的自立です。堺本校の5年制クラスでは、高校生活の3年の前後に、それぞれ1年ずつ高校生活を送るためのトレーニング期間と卒業後のためのトレーニング期間を加えた教育を実施。その教育の中身は、学ぶ姿勢や心掛けの定着からから始まり、5年間かけて小・中・高の基礎を身に付け、コミュニケーション能力や環境適応能力の向上、就労体験による労働・生き方への認識といったレベルまで時間をかけて進んでいく内容となっています。もちろん、生徒1人ひとりの個性を把握し理解した上で指導やフォローをしてくれるので安心です。
この5年制クラスの他にも、家庭訪問や完全個別授業を基本とした「ホームサポートクラス」、自学自習のネット学習が中心の「通信クラス」など、通学や集団学習が苦手な方でも学べるクラスが設置されています。一般的な高校や通信制高校では得られない支援体制のある学習環境です。
2. 心のサポート
教員に関しても、「特別支援学校教諭免許」を取得した教員が常駐しているので非常に信頼できます。生徒へのサポートはもちろん、保護者へのメンタルサポートも実施しているので、困った事や不安な事があればいつでも相談可能です。
3. 進路のサポート
こういった学習環境の中で行われる進路サポートも注目ポイント。進路面談や就労体験を通して生徒の将来像を明確にし、実践的な面接練習や志望動機書の書き方などのスキルを学び、進路を決定していきます。丁寧かつ生徒1人ひとりのペースに合わせて行われる進路指導は、長年多くの生徒を送り出してきた八洲学園高等学校ならではのもの。進路面でも充実したサポートが得られます。
独自の5年制クラス等による強固な支援体制の学習環境、特別支援学校教諭免許を持つ教員によるメンタルサポート、充実した進路サポート。この3つの支援は、発達障害の方も保護者にとっても安心できるサポートです。数ある通信制高校の中でも特におすすめできる高校なので、一度公式サイト等をチェックしてみてはいかがでしょうか。
卒業率
調査中
進学率
調査中
編入情報
編入可能
学校の基本情報
設立年度 | 1992年 |
---|---|
お問い合わせ番号(電話番号) | 072-262-8281 |
公式サイトURL | https://www.yashima.ac.jp/hs/ |
キャンパス情報 | 東京(新宿キャンパス・池袋キャンパス・町田分室)、神奈川(横浜分校)、大阪(堺本校・大阪中央校・梅田キャンパス)、兵庫(三宮キャンパス) |
あずさ第一高等学校
あずさ第一高等学校は、単位制・普通科の授業を行う広域通信制高校。ひとりひとりの個性に合わせて選べる学習スタイルが用意されており、自分のペースで楽しく学ぶことができます。
登校日数や学習スタイルは自由に決めてOK!週5通学からフリースタイル、一般通信からweb授業まで、ニーズに合ったカリキュラムを導入しています。
サポート内容
1. 意欲のサポート
大学進学の学びはもちろん、「好きなコト」「興味あるコト」を伸ばせるオリジナルコースもあり。普通授業に加えて、学力をじっくり伸ばすコースや、自分の感性を伸ばす多彩なコースを用意しており、生徒ひとりひとりの「好き」を応援してくれます。オリジナルコースは複数選択することができるので、自分だけのカリキュラムを作ることも可能ですよ。勉強はもちろん、充実したスクールライフを楽しむことができます。
2. 心のサポート
あずさ第一高等学校では各キャンパスに臨床心理士の資格を持つスクールカウンセラーを配置しており、さまざまな面から生徒をサポート。友達や勉強、家庭のことなど、高校生活のなかで生まれるさまざまな悩みに寄り添い、解決策を一緒に考えていきます。一時的に登校が難しくなった場合も個別対応でしっかりと対策してくれるので、安心して入学することができますよ。スクールカウンセラーと担任が連携を取りながら、生徒ひとりひとりに合った学習環境をサポートしてくれます。
3. 進路のサポート
クラス担任を採用しており、生徒ひとりひとりへのきめ細かな学習支援を行うあずさ第一高等学校。大学や専門学校など、希望する進路はさまざま。どのような道を選択してもきちんと対応できるよう、入学1年次から卒業までの進路をサポートするカリキュラムを導入しています。卒業を控えた3年次では、進路相談からガイダンス、小論文指導や面接指導など、入試に必要なスキルが身につく指導を実施。明治大学や東海大学など有名大学への進路実績も多数あり、難関大学を目指すことも可能です。
卒業率
公式サイトに記載はありませんでした
進学率
公式サイトに記載はありませんでした
編入情報
公式サイトに記載はありませんでした
学校の基本情報
設立年度 | 2004年4月 |
---|---|
お問い合わせ番号(電話番号) | 04-7122-2400 |
公式サイトURL | https://www.azusa1.ed.jp/school-life/career-options |
キャンパス情報 | https://www.azusa1.ed.jp/campus |
まとめ
発達障害生徒へのサポートには、継続的なカウンセリングと、居心地よい場所や雰囲気を与えることがとても大事です。
そのため、通信制高校を選ぶ際にも、サポート体制がしっかり整えている学校を探す必要があります。
カウンセリング専門家や、相談できる体制、システムがあるのかしっかり調べてから学校を選んでください。
発達障害の生徒が
安心して通える
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